国内外からの観光客で賑わう夏の一般公開~バッキンガム宮殿~(後編)

英国の1年を、時候に沿ってお届けする【英国365日】。
8月は、英国君主の公邸「バッキンガム宮殿」について。


英国バッキンガムシャー州在住で英国政府公認ブルーバッチ観光ガイドの木島・タイヴァース・由美子さんにお話しいただきます。


それでは、木島さんの#英国ライフ・コラムをお楽しみください!


さて、バッキンガム宮殿の見学にはオーディオが貸し出されますが、日本語もあります。
オーディオで説明を聞きながらゆっくり見学し、出口でオーディオを返却した後、庭に出ます。ここにはティーショップや売店があります。
庭の見学はツアーがありますので、興味のある方はツアーに参加してください。
そこには野生の動植物を保護する環境が作られ、ロンドンの中心でありながら325種類の野生の草花、30種類の鳥が生息しています。
5月・6月にはこの庭で公式園遊会が開催され、毎回およそ8,000人が出席します。
写真上:売店内部。
写真下:バッキンガム宮殿と外の景色
 
さて、バッキンガム宮殿は現英国女王の公邸であり、国家元首がおもてなしを受ける場所です。世界中からの観光客が後を絶ちません。
今回、私は開館が始まった2日目に訪れましたが、とても混雑していました。
事前に予約をして決められた時間に行ったのですが、それでも並びました。

ヨークシャーからやってきたクリフォードさんご一家は、5日間のロンドン滞在のハイライトになったようです。12歳と10歳のお嬢さん(カーリーさんとエレリさん)は、「ロンドンはエキサイティングな街。宮殿ではお部屋のインテリアや家具が素晴らしかった」と興奮した様子。
お父様は「私は王室の強い支持者です。今回バッキンガム宮殿を見学して、益々女王陛下が公式晩さん会やチャリティをサポートする晩さん会、園遊会を通して国のために尽くされていることがよくわかりました。女王陛下は英国の宝です。
ロンドンに関して?そうですね。ヨークも深い歴史を持っていますが、ロンドンを観光していても常に歴史が感じられました。ただこれだけは断言できます。カレーは断然ヨークシャーのブラッドフォードが美味しいですよ!」と。
写真:ヨークシャーからやってきたクリフォードさん一家

今はポルトガルに住んでいるというブラジル人のジセルさん一家は、16歳のお嬢さん(ラケルさん)とロンドン観光に来たとのこと。
ジセルさん:「ブラジルもポルトガルも共和国で、君主はいません。どちらがいいとは言えませんが、英国の王室にも興味を持っています。」

宮殿で何が一番気に入ったのかをラケルさんにお聞きしたところ、「特別展示に飾られていたダイヤの王冠!」と目を輝かせながら即答してくれました。
写真:ジセルさんご一家

アメリカのカリフォルニアから短期留学で来て、2か月間ロンドンで経済を勉強をしている2人組・パラクさんとアムルタさん。
宮殿でオーディオを聞きながら、
パラクさん:「英国のことがよくわかりました。アメリカのホワイトハウスも見学したことがありますが、実用的な部屋が多く、宮殿とは違った雰囲気です。」

アムルタさん:「私は特に美術に興味があり、アメリカでもルーベンスの絵は何回か見たことがあります。同じルーベンスをバッキンガム宮殿でも見ることができて嬉しかったわ。そしてフェルメールの絵が見られたことにも感激しました。」と話してくれました。
写真:アムルタさん(左)とパラクさん(右)

バッキンガム宮殿の敷地内には、ロイヤル・コレクションを鑑賞できるクイーンズ・ギャラリー、そして女王陛下がお使いになる馬車・馬などが見学できる、ロイヤル・ミューズもあります。

ウィンザー城の火災という不運な出来事からバッキンガム宮殿が一般公開されることになりました。
それまでは単に想像の世界に過ぎなかった宮殿内部の様子が、こうして一般の人々に見学可能になったことで、王室と国民の距離が縮まってきていることは確かです。
それが、王室の将来には一番重要なことかもしれません。
<木島・タイヴァース・由美子 プロフィール紹介>
英国政府公認ガイドとして30年以上にわたって英国全土の観光案内をする。

2015年に英国の文化に特化したツアーの企画、アドバイスを専門に扱うカルチャー・ツーリズムUKを設立。

現在は観光ガイドの他に毎月英国の観光、文化に関してのオンライン・トークを実施している。
バッキンガム州で夫、愛犬の3人暮らし。

その他、雑誌や新聞に寄稿。
著書に「小さな村を訪れる歓び」「イギリス人は甘いのがお好き」がある。

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