英国・クリスマスカード文化とは?

英国の1年を、時候に沿ってお届けする【英国365日】。

12月は、「クリスマスカード」について。


英国バッキンガムシャー州在住で英国政府公認ブルーバッチ観光ガイドの木島・タイヴァース・由美子さんにお話いただきます。

それでは、木島さんの#英国ライフ・コラムをお楽しみください!



今年もそろそろクリスマスの準備にとりかかる季節となりました。

クリスマスツリーを飾り、クリスマスディナーのメニューを考え、家族や親しい人へのクリスマスプレゼントを買い…

毎年のことながら準備をすることがありすぎて、ちょっぴり焦り気味の最近です。


スコットランドを除き、英国では現在クリスマスは1年のうちで最大の祝日ですが、実は19世紀まではクリスマスを特別に祝う習慣はありませんでした。

(※スコットランドは宗教的な側面から16世紀にクリスマス禁止令が出された影響で、禁止令が解かれた後もクリスマスを盛大に祝う習慣が広まらず、現在でもクリスマスよりも大晦日(ホグマニー)の方が大規模に祝われている。)

お店は普通にオープンしていましたし、仕事も休むことなく続けられていました。

ところが19世紀後半、一般家庭でクリスマスツリーが飾られ、カードを贈り合う習慣ができ、クリスマスは最大の年中行事となりました。


きっかけは、ヴィクトリア女王の夫君であったアルバート公が故郷のドイツの習慣にちなんで、ウィンザー城にクリスマスツリーを飾ったことから始まります。

その様子を描いた版画のイラストが1848年に出版されると、たちまち国民の間にクリスマスツリーを飾る文化が広まりました。


写真:クリスマスツリーを一般家庭に広めた、ヴィクトリア女王家族のイラスト。

© British Library Board. P.P.7611


作家チャールズ・ディケンズは1843年に小説「クリスマス・キャロル」を出版しました。

現在クリスマスの時期にチャリティ活動があちらこちらで行われるのも、このストーリーが多分に関係しています。


写真:初版の「クリスマス・キャロル」


そして、「クリスマス・キャロル」が初めて出版された年に、世界で初めてクリスマスカードが販売されました。

英国人は「世界で一番カードを贈る国民」と言われており、国内にはカード専門店が多数あります。

それはクリスマスやイースター、バレンタインデーのような年中行事に限らず、結婚記念日のお祝い、出産祝い、合格祝い、また病気を患っている人の全快を祈ったり、お悔やみの気持ちを伝える際にもカードに一言を添えて贈ります。


写真:大手カード専門店「ペイパーチェイス」

 © Paperchase

写真:カード専門店では、カードの他、ラッピングペーパー(包装紙)なども販売している。



写真:スーパーマーケットのカードコーナー


スーパーマーケットにも必ずカードコーナーがあります。クリスマスが近づくと更に多くのカードが並びます。


次回に続く…


次回は、クリスマスカードの起源とはどのようなものだったのか、また、どうやって一般の人にクリスマスカード文化が広がっていったのか、についてお届けします。どうぞお楽しみに!



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