英国・1800~1900年代前半のクリスマスカード

英国の1年を、時候に沿ってお届けする【英国365日】。

12月は、「クリスマスカード」について。


英国バッキンガムシャー州在住で英国政府公認ブルーバッチ観光ガイドの木島・タイヴァース・由美子さんにお話いただきます。

〈前回の記事、【英国・クリスマスカードのはじまり】はこちらから〉

それでは、木島さんの#英国ライフ・コラムをお楽しみください!



写真:ヘンリー・コールが1843年に作った世界初のクリスマスカード

© Victoria and Albert Museum, London


さて、このカードをよく見ると、左上には貧しい人に食べ物を与え、右上には着るものを施しているシーンが描かれています。

これは前々回のコラムでお話しした、1843年に出版されたディケンズ作の小説『クリスマス・キャロル』、その影響で、英国ではクリスマス時期になるとチャリティ活動が盛んになります。


そして中心にいるのはヘンリー・コール(ヴィクトリア&アルバート博物館の初代館長で、一般向けのクリスマスカードを世界で初めて作った人物)の家族と言われています。楽しそうにワインを飲みながらクリスマスをお祝いしています。

でもよく見ると、なんと子供にワインを飲ませる母親らしき人がいるではありませんか!

当時は禁酒運動も興っていた時で、物議を醸したカードでもありました。


以来クリスマスカードの内容も宗教的なものから、宗教とは関係のない風景や、近年にはジョークを入れたカードなども出回っています。


写真:1870年頃の宗教的なクリスマスカード

© Victoria and Albert Museum, London


写真:ヴィクトリア時代に人気だった、紙のレースを使ったクリスマスカード。(1860年~1880年)

© Victoria and Albert Museum, London


写真:1916年、第一次世界大戦中にフランスから英国の母娘宛に贈られた、刺繍がほどこされたクリスマスカード。

© 2022 National Museums of Scotland


このように、クリスマスカードを贈る習慣は歴史としてはそう長くはないのですが、今では一般の人の間でも、そしてロイヤルファミリーの間でもしっかり根付いています。


写真:1949年、チャールズ国王が1歳の時に写真を添えてエリザベス女王から贈られたクリスマスカード。

Royal Collection Trust / © His Majesty King Charles Ⅲ 2022




次回に続く…



次回は、クリスマスカードとチャリティ文化についてお届けします。どうぞお楽しみに!

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