英国・冬の「パブリック・フットパス」を歩く

英国の1年を、時候に沿ってお届けする【英国365日】。

1月は、「英国人の冬のウォーキング」について。


英国バッキンガムシャー州在住で英国政府公認ブルーバッチ観光ガイドの木島・タイヴァース・由美子さんにお話いただきます。

〈前回の記事、【英国人の冬のウォーキング】はこちらから〉


それでは、木島さんの#英国ライフ・コラムをお楽しみください!


英国人にとってウォーキングは昔から暮らしの一部として根付いており、英国特有の「パブリック・フットパス」が英国中に存在します。

「パブリック・フットパス」とは、歩く人のために解放されている道のこと。

そこが私有地であっても、「パブリック・フットパス」に指定された場所は自由に歩くことができます。


写真:「パブリック・フットパス」を使って歩くルートの標識。


さて、ウォーキングで楽しいことの一つは、思いがけないものを発見する時です。

写真:足を止めて、見つけたものを眺めるウォーカーたち。


この日の発見は、鳥小屋でした。

この鳥小屋は、ハートフォードシャー自然史協会(The Hertfordshire Natural History Society)がツリー・スパロウ(tree sparrow:スズメ)を保存、保護しようという目的で行っているプロジェクト(The Herts Tree Sparrow Project)の一環として作ったものです。

写真では分かりにくいかもしれませんが、沢山のツリー・スパロウがひっきりなしに出入りしていました。


写真:ツリー・スパロウを保存、保護するために作られた鳥小屋。


英国には大きく分けてハウス・スパロウとツリー・スパロウの2種類のスズメが存在しますが、最近は急激な減少と共に、その存在が危ぶまれています。

(ハウス・スパロウは人が住む町に、ツリー・スパロウは農耕地に生息しています。)

特にツリー・スパロウは、1970年から2008年の間に93%も減少しました。農耕地に住んでいたスズメが、開発によって住む場所を失ったことが原因です。


写真:ツリー・スパロウ  ©Pauline E


ウォーキングコースの約半分に差し掛かったところで、紅茶を飲みながらいったん休憩です。


写真:寒い冬のウォーキングには、紅茶が体を温めてくれます。


歩くと言っても、ただ黙々と歩くのではなく、おしゃべりをしながらの楽しいウォーキングです。

地元の歴史から、趣味の話、おもしろい経験談などまで、初めて会った人とは思えないほど親しく会話をしながら歩きます。

007のジェームズ・ボンドの話では、どの俳優のボンド役が好きか?という話題に花が咲きました。

「ロジャー・モアが一番良かった。彼はベイクド・ビーンズが好きなんだ。それで一度会った時に、どこのブランドが好きか尋ねてみた。答えは『ハインツ』のベイクド・ビーンズだったよ。」


「歩くことももちろんだけど、参加者とのおしゃべりが楽しみで、ウォーキングに参加している。」


「父がウォーキングが好きだったので、気が付いたら歩くことが日常生活の一部になっていたわ。」


「以前、とても長いルートを歩く協会のウォークに参加したよ。一日で40㎞以上歩いたかな?」

写真:おしゃべりをしながらのウォーキングは、特に楽しい。


さて、2時間半後に町に戻ってきました。

写真:住宅街を歩くウォーカーたち。


さらに30分ほど歩き、無事にウォーキングが終了。ウォーキングの後はティーショップで紅茶を囲んでの楽しい時間が待っています。


写真:ランブラー協会の会員たち。左から時計回りにクリスティーンさん、アンジェラさん、ペニーさん。


もうすぐ80歳になるクリスティーンさんは、地元ウォーキングのレギュラーです。

お年を聞いてびっくり。毎週ウォーキングに参加されているそうで、今回もほとんどの行程を先頭を切って歩いていらっしゃいました。


常に一番後ろの人(私)と一緒に歩くジョンさんは、怪我をしたり、具合が悪くなった人のために常にタッパーの応急処置箱を持ち歩いています。

今回は急激な気温の変化でおこるヒートショックの応急手当に使う、サバイバル・ブランケットも用意されていました。


写真:ジョンさんの応急処置箱



次回に続く…



次回は、ウォーキング団体「ランブラーズ」の歩みについてお届けします。どうぞお楽しみに!


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